2022.04.27 最終更新
高卒の離職率ってどれくらい? 定着率が悪い理由やその原因とは?
このような疑問をお持ちではないでしょうか?
この記事では、高卒で就職した方の離職率について解説します。
是非参考にしてください。
1.高卒の離職率ってどれくらい?
厚生労働省が発表した「令和二年度新規学卒就職者の就職後3年以内の離職状況」によると、新規高卒就職者のうち約4割に当たる36.9%の方が、就職から3年以内に離職していることがわかっております。
新規大卒就職者の離職率は、高卒就職者よりもやや少なめの31.2%です。
新規高卒・新規大卒とも共通して、事業所規模が小さな会社ほど退職者が多いという結果になっております。
事業所規模別の離職率は以下の表のとおりです。
事業所規模 | 高卒就職率 | 大卒就職率 |
5人未満 | 61.9% | 56.3% |
5~29人未満 | 52.8% | 49.4% |
30~99人未満 | 44.1% | 39.1% |
100~499人未満 | 35.9% | 31.8% |
500~999人未満 | 30.0% | 28.9% |
1000人以上 | 25.6% | 24.7% |
2.高卒の離職率が高い業界は?
同調査によると、離職率が高い業界は高卒・大卒共にほとんど同じ結果となっております。
「宿泊業・飲食サービス業」や「生活関連サービス業・娯楽業」は、広い意味で接客業・サービス業といわれる部類です。
新規高卒・大卒で接客業・サービス業に就職した方のうち約半数の方が、3年以内で離職していることになります。
また、厚生労働省が発表した「令和2年上半期雇用動向調査結果の概要」によると、新規卒業者以外を含めても最も離職率が高い業界は「宿泊業・飲食サービス業」です。
宿泊業・飲食サービス業の離職率が高い背景として考えられる理由として、労働時間が長いことや、労働時間に対して賃金の条件がよくなかったという点が挙げられます。
特に飲食サービス業は業界全体で人員不足の状態が長年続いており、労働人口が少なくなっていく今後、ますます厳しい状況になることが予想されております。
高卒 | 離職率 | 大卒 | 離職率 |
宿泊・飲食業 | 61.6% | 宿泊・飲食業 | 51.5% |
生活関連業・娯楽業 | 56.9% | 生活関連業・娯楽業 | 46.5% |
教育・学習支援業 | 50.1% | 教育・学習支援業 | 45.6% |
小売業 | 47.8% | 医療・福祉 | 38.6% |
医療・福祉 | 46.2% | 小売業 | 37.4% |
3.高卒の離職率が高い原因とは
厚生労働省が発表した調査結果によると、卒業後初めて就職した会社を辞めた主な理由として、以下のものが挙げられております。
理由 | その理由で退職した人の割合 |
人間関係がよくなかった | 29.0% |
時間・休日・休暇の条件が良くなかった | 28.7% |
賃金の条件が良くなかった | 26.1% |
会社に将来性がない | 12.7% |
ノルマや責任が重すぎた | 12.4% |
・人間関係がよくなかった
職種や年齢を問わず、離職の理由としてよく挙げられるのが人間関係の問題です。
同僚との人間関係が良好でない場合は、仕事上のコミュニケーションも上手くとれずに業務に支障をきたすこともあるでしょう。
また、重くギスギスした雰囲気が職場内に充満してしまうと、やりがいや働きがいを感じながら働くことも難しくなります。
しかし人間関係の問題を理由に離職しても、転職先で同じようなトラブルが起きることも予想されます。
転職後は良好な人間関係の下で長く働いていけるよう、自身に改善すべき点がないか考えてみることも大切です。
・労働時間・休日・休暇の条件がよくなかった
特にサービス業を離職する方に多い離職理由が労働時間・休日・休暇の条件の問題です。
入社前にある程度分かることのようにも考えられますが、実際に入社してみると思っていた以上に残業が長かった、休日出勤せざるをえない環境だったということもあるでしょう。
また夏季休暇や有給休暇など、会社の制度としては用意されているが、実際に使っている人は少ないなどの企業風土がある会社もあるようです。
・賃金の条件がよくなかった
こちらも入社時にわかっていることではありますが、実際に働いてみると仕事内容に見合った賃金ではないと感じることもあるのでしょう。
また、勤続年数が伸びても昇給する見込みがないことに気づいて、離職を決意する方もいるようです。
・会社に将来性がない
企業の事業規模や売上は、入社してみるまでわからないことがほとんどとなります。
仕事に慣れ、会社のこと・業界全体のことがなんとなく見えてくるようになり、会社の将来性に不安を感じる方もいるのでしょう。
また、昨今はコロナウイルスの影響で倒産してしまう企業が相次いでおります。
そのような世間情勢から、自身が在籍する会社の将来性に不安を感じる方も多いです。
・ノルマや責任が重すぎた
高卒での就職は、10代のうちに社会に出ることになります。
ノルマがあるかどうかは職種にもよることが考えらえますが、仕事への最低限の責任は、どんな職種でもありえるものだといえるでしょう。
学生生活とは違う、社会人としての責任の重さに耐えきれず、退職してしまう方も一定数いるようです。
4.高卒が定着率の高い会社に就職するには
せっかく就職するなら、定着率の高い会社に入社する方が安心かと思います。
定着率の高い会社に就職するためのポイントについて解説します。
・就職する会社の口コミを確認する
会社によっては、特定の理由で辞める方が多いという前例がある会社もいます
インターネットで口コミ情報を検索すると、以前その会社で働いていた方が口コミを残していることがあります。
その会社のリアルな実情を赤裸々に書いてあることもあるので、会社を選ぶ際の1つの参考になるはずです。
会社を選ぶときに、口コミ情報も参考要素の1つにすることをおすすめします。
・研修が充実している会社に就職する
研修制度が充実している会社は、社員教育に力を入れている会社だといえるでしょう。
会社が教育に力を入れる理由は、入社した社員に研修を通して知識やスキルを身に付けてもらい、長い期間働いて欲しいという思いがあるからです。
研修が充実している会社は定着率が高い傾向があり、研修制度の充実度は、定着率の高い会社を選ぶときの1つの参考になるはずです。
・自己分析をして適職を判断して決める
高卒就職者の中には、とりあえず入れそうな会社に的を絞って応募し、採用されたという方も少なくありません。
しかし、人には生まれ持った才能や学校教育を通して身に着けたスキル、その人の価値観や考え方から、向いている仕事・向いていない仕事があります。
適職を判断するには、自己分析をして自身の強みや弱みを身に着けることが大切です。
自己分析をして適職を決めてから会社選びをすることで、長く働いていける会社を選ぶことにも繋がっていくでしょう。
・知識・スキルを身に着けてから就職する
就職をするまえに、スクールや独学で知識・スキルを身に着けるという方法もあります。
入社前に一定のスキルを身に着けておくことで、入社してすぐに即戦力として働くことができ、会社から重宝される社員となることが期待できるでしょう。
全くの初心者で入社するよりも、事前に知識・スキルを身に着けて入社した方が、仕事でストレスを感じることも少なくなり、長く働くことに繋がるでしょう。
まとめ
高卒就職者の約4割が、就職して3年以内で退職しているという調査結果があります。
高卒就職者は、企業からみれば、安い労働力だと捉えられている側面があることも否定できません。低賃金で長時間勤務を強いられ、疲弊してしまうのです。
そのような企業に入社してしまわないように、会社を選ぶための知識、業界や社会に対しての知識をある程度つけておくことが大切です。